阿呆

桃色のお前はよくやってくれた。おかげでわたしは無事に腹を下し、カリウム電解質もすべて吐き出し、全身を痙攣させながら脱水症状に陥ってぐったりとしている。もうだめかもしれないとわたしは思う。からだとかこころとかそういう部分的な話ではなくて、わたしの人生そのものが静かに終末に向かっていくような絶望感ゆえの。

まずは恋人にすべてを話した。まだオーバードーズが続いていること、日に日に飲む量は増えていること、吐き気、眠気、集中力低下など、あらゆる副作用に侵されて基本的な生活がまっとうできていないこと。医者に打ち明けたら、老化がひとより早く進むよと淡々と告げられたこと。10年20年後を想いながら生きるなんて阿呆らしいと思っていたけれど、本当に阿呆だったのは現在すら大切にできていないわたしだった。

もう一度やってみようと恋人が言った。わたしは安堵した。けれどそれを聞く前からその言葉に甘えていたのだろう。だから自ら転落していったのだ。まだ手を差し伸べてもらえると勝手に決めつけて。

妹にもそういった話をした。わたしの言い訳のオンパレードを聞いたあと、彼女は、馬鹿、と言い、続けて、衝動的に飲んでしまうその瞬間をもう少し闘ってほしいと言った。そのとおりだった。いっしょに、ということだよねと訊ねると、そう。と返ってきた。彼女は一般論的な話をしているわけではなく、わたしがしんどくなるとわかりきった行為は控えさせたいと、そのためにいっしょに闘いたいと言ってくれているのだった。わたしは共闘すら避けていたのかと情けなくなった。

これを書きながらまたお前を飲んでしまって、少しの安堵と、少しの後悔がふつふつと湧いてきているんだけど、きょうはこれきりにしよう。後悔も不安もなにもかもきょうはこれきりでさようなら。

アペタイト

朝ごはんに小さくて硬めのヨーグルトを食べて、昼ごはんに大ぶりのトマトをスライスしてごまドレッシングをかけたものを食べた。夜ご飯がお寿司の予定なので朝と昼を軽めにしたはいいけどどうにも口寂しい。いちごジャムでも舐めようかと思ったら恋人に強く止められて、いまは恋人が淹れてくれたミルクティーを少しずつ飲んでいる。

 

わたしはお腹の具合に合わせて適量の食事を摂るということができない。気分が不安定で、やたら不安だったり焦っていたりするとついお菓子に手が伸びて無心で食べてしまう。みんなそういうもんでしょと思っていろんなひとにこの話をしたところ、お腹が空いた以外の動機でなにかを食べることはないと聞いて目玉が飛びでた。一般的に食事は生きるために義務的に摂取するものだそうなんだけど、わたしは食べることにそこまで割り切ることができなくて、痩せたいと泣き叫ぶわりには砂糖のかたまりを食らってしまう。こうして文章を書いて気を紛らわせることができた日はまだいいけど、結局めちゃくちゃな量のなにかしらを食べてしまって、後悔して、自分を責めて、ピンクの小粒を大量に飲んで結果的に脱水症状になることを繰り返している。

 

ミルクティーを飲み干してしまった。煙草でも吸って冷静になって、いまはご飯いらないでしょと自分に言い聞かせることにする。きょうのわたしには説得の余地あり。話を聞いてくれますか。

ユニボールシグノ

お題「マイブーム」

 

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ユニボール シグノ 超極細 0.28mm | ユニボール シグノ 極細シリーズ | ユニボール シグノ キャップ式 | ゲルインクボールペン | ボールペン | 商品情報 | 三菱鉛筆株式会社

 

ユニボールシグノの0.28ミリのボールペンが好き。たまにインクが出なくなるけど筆圧を低めにしてゆっくりと線を引くといい感じにペン先が紙に引っかかって好みの線を書ける。この紙の引っかかり具合と、ゲルインキならではのにじみ防止がとても好きで、最近は日記をこのペンで書いてインクがなくなるまで日記を書き続けるというチャレンジをしていた。ユニボールシグノで書いた自分の字が好きなので続けられている。この間赤色と青色を買い足したので、これからもたくさん使っていきたい。

魔法にかけられて

お題「#2018年上半期ベストコスメ」

キャンディドール ブライトピュアベース<ラベンダー> | |CandyDoll(キャンディドール) - 益若つばさプロデュースコスメブランド

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ブルーとピンクのベースを混ぜたらとりあえずパープル系統の下地ができあがるでしょと思いしばらく安いもの同士を混ぜてできあがった下地を使っていたけど、どうしても顔面塗装の仕上がりに不満を拭いきれずにとうとうLOFTの化粧品売場でラベンダー色のこの子を手にとった。下地に1600円はどうなのよ、高いわよ、お財布が悲鳴をあげるわよなどいろんな思考が頭のなかをめぐったけれどわたしはつーちゃんこと益若つばさちゃんプロデュースの化粧ブランドーーキャンディドールに圧倒的な信頼を寄せていたので思い切って購入した。ついでに980円くらいで売られていた化粧下地にもなるしボディに塗って肌をワントーン明るくできますよといった謳い文句のラベンダー系クリームも買った。

家に帰った翌日さっそく使ってみるとラベンダー色のそれは少量で適度に伸び、べたつくことも乾燥することもなく、顔面に均等に塗ったあとのわたしの肌は自然にワントーン明るくなっていた。頬にはほどよい艶ものっていて、思わず自分の顔をまじまじと見つめた。くすんで疲れて見えていた肌が水を得た魚のように活き活きしていた。魔法のようだった。いままで馴染まないなあと思いながらも渋々使っていた下地はなんだったんだと言わんばかりにしっくりきた。

いまでは近所のコンビニに行くだけでもこの下地を塗らないと気が済まない。明るくなった肌色にお気に入りのちふれ549番を塗ったら最低限の化粧が完成する。わたしは自分の肌色の系統すらまともに把握していないけれど、これだと思った。いまのところこれ以外のアイテムを使おうとは思わない。下地を塗るだけでわたしは魔法にかけられる。外の世界を堂々と歩くためのちょっとした魔法。ついで買いしたクリームも下地代わりに使ってみたけど話にならなかった。くすんだままの顔面を見てきもちも曇ってしまったのでいまはとくに使っていない。グリーンもあるから自分がイエローベースだとわかっているひとはこちらのほうがいいのかもしれない。ありがとうつーちゃん、わたしはきょうもあしたも魔法をかけてわたしを生きる。